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Craft Report
本藍染の美しさと奥深さ。「阿波天然灰汁醗酵建藍染」で長持ちする、美しい藍色に
京都・西陣に工房を構える、本藍染師の炭田敏良さん。27歳で先代から有限会社あい・あいを継ぎ、伝統的な技法「天然灰汁醗酵建阿波藍染」により、上質なシルクを一反一反、時間をかけて丁寧に染めることで、ほかにはない美しい藍色を生み出し業界でも注目されています。
古くから日本で愛されてきた「藍色」
「ジャパンブルー」と称される藍色は、飛鳥時代に日本に伝わって以来、1300年に渡って使われてきたといわれています。藍色には馴染みのある紺のほか、淡い藍白からより深く濃い紫紺や留紺まで、48色に分けることができます。
あい・あいでは、阿波(徳島県)で600年以上続いている伝統の方法で作られた蒅(すくも)を使用し、これを樫の木の灰や日本酒と一緒に発酵させたものを用いる阿波天然灰汁醗酵建藍染という技法を用いて、染めるのが難しいとされるシルクを中心に藍染めしています。
原料となる、すくもや乾燥させた藍の葉
原料となる、すくもや乾燥させた藍の葉
阿波天然灰汁醗酵建藍染に欠かせない灰
阿波天然灰汁醗酵建藍染に欠かせない灰
かつては先代の父と母の3人で工程を分けて作業していましたが、先代が他界し母も高齢になったため、力の必要な作業のほとんどを1人で行わねばならず、手仕事・力仕事が中心となる藍染業界では類を見ない染色機械を導入。それまで1反までの長さしか染めることができなかった作業が4反の長さを染めることができるようになるなどの効率化をはかりながらも、同時に難しいシルクをどこよりも丁寧に、美しく染めています。
美しい藍色を生み出す、根気強さと誠実さが必要な水洗いと染めの工程
白生地の水洗いを繰り返す。あい・あいでは水洗いもオリジナルの専用機械を用いて行う
白生地の水洗いを繰り返す。あい・あいでは水洗いもオリジナルの専用機械を用いて行う
藍染めは、「巻き取り」と呼ばれる付着している不純物を洗い流し、均一に湿らせ巻き取りしながら絞る工程から始まります。その後、何度も「水洗い」して絹のタンパク質や不純物を取り除いてから初めて「染め」の工程に。 「染め」の工程では、発酵させた藍液に漬けて取り出し、空気にふれさせ酸化させることで発色します。室内の温度を25度で一定に保っていても、生地の状態やその日の空気や湿度、水温など微妙な違いで色合いが変わるため、均等に染めていく必要があります。また、少しでもシワができたり、汗の付着、埃だけでなく気泡が残っているだけでもムラになってしまうため、これらの全てを丁寧に取り除きながら均一に染めることに、最も神経を尖らせなければなりません。
発酵させた藍。栄養と醗酵促進のため日本酒を入れてかき混ぜて調整する
発酵させた藍。栄養と醗酵促進のため日本酒を入れてかき混ぜて調整する
ピンセットで埃や気泡を取り除く
ピンセットで埃や気泡を取り除く
この染めのあとも水洗いを繰り返します。一般的にイメージされる藍色に仕上げる場合は約200回は水洗いと脱水をしなければならないといいます。この作業をいかにしっかりと丁寧に行うかで、色斑のない美しい藍色に繋がってくるのだそう。また、阿波天然灰汁醗酵建藍染の技法を使うことで、シルクの一本一本に絡みつくようにして色が重なっていくため、色落ちしやすい化学染料やインクジェットでは出せない、長持ちする美しい藍色が生まれています。
充分に水洗いをした後は乾燥させます。染めの工程や水洗いの段階では、仕上がりよりも濃く見えるため、この乾燥後の色合いを想像しながら、染める回数を見極めるのも難しいポイント。満足のいく仕上がりに染められるようになるには、3年の修行が必要だとか。
本藍染の本物で勝負。「正直に、細く長く、続けたい」
機械化を導入したといえ、何度も何度も染めと洗いを繰り返さなければいけない本藍染め。商品になるまで最低でも半年はかかるのだそう。短縮すれば1ヶ月や2ヶ月で仕上げることもできるそうですが、そうすると色が落ちやすくなったり、満足のいく美しい色が出せず、10年、20年後の色落ちなどトラブルの原因になることもあるそう。 「親父が死んで後を継いだのが27歳の時でした。今、いい加減な仕事をすると10年後、20年後にトラブルになる。ここで染めた着物を、10代〜40代のお子様と、40代〜70代のお母様が兼用で着ていただけるようにご提案させていただくためには、色落ちしない、長く着ていただけるように、お客様のことを考えて物作りしています」と炭田さん。
「絹の藍染は、藍染に向いている生地をきちんと選ぶ、薬品等を用いず正しく藍を建てる、正しく染める、何度も水洗いと脱水をする、藍留め加工をしっかり行う、この5つの工程が大事なんです。正しくすればするほど時間がかかるので、どれかをサボってしまいたくなるし、時間がかかればかかるほど商売として大変になる。そこをサボらずにがんばれたらいいものができる。もっと安い商品が世の中に出回っているからこそ、ここでは上質なシルクと本藍染の本物で勝負している。染めの原料や染めにこだわっていると言っているところでも、私ほど洗いや脱水にこだわって行っている人も少ないですから」と力強く語ってくれました。 「技術的にはまだまだ上限がない世界なので日々技術を磨きながら、なにより続けていくことが目標です。正直に、細く長く、きちんとした仕事を続けて、藍の色を知っていただき、綺麗だなと思ってもらえるようなものを作っていきたい」 炭田さんの本藍染を通して、藍色の奥深さを、本物の魅力を感じてみてください。
あい・あい
locationPin京都府
#染色品-藍染
京都・西陣に阿波藍染の伝統的な技法「天然灰汁醗酵建阿波藍染」の着物工房を構え、上質なシルクを一反一反、時間をかけて丁寧に染めることで、ほかにはない美しい藍色を生み出しています。
Workshop Available
Last Updated : 2025/02/07
Representative
炭田敏良
Established year
2005年
Employees
0
Location
京都市上京区上立売通浄福寺西入蛭子町657
Request Production/Product Development
Each craft manufacturer showcased in "MEIHINCHO" boasts its own distinctive and innovative technology. For those interested in leveraging this craftwork technology for OEM or product development, please don't hesitate to reach out to us.
あい・あい
locationPin京都府
#染色品-藍染
京都・西陣に阿波藍染の伝統的な技法「天然灰汁醗酵建阿波藍染」の着物工房を構え、上質なシルクを一反一反、時間をかけて丁寧に染めることで、ほかにはない美しい藍色を生み出しています。
Workshop Available
Last Updated : 2025/02/07
Representative
炭田敏良
Established year
2005年
Employees
0
Location
京都市上京区上立売通浄福寺西入蛭子町657
Craft Report
本藍染の美しさと奥深さ。「阿波天然灰汁醗酵建藍染」で長持ちする、美しい藍色に
京都・西陣に工房を構える、本藍染師の炭田敏良さん。27歳で先代から有限会社あい・あいを継ぎ、伝統的な技法「天然灰汁醗酵建阿波藍染」により、上質なシルクを一反一反、時間をかけて丁寧に染めることで、ほかにはない美しい藍色を生み出し業界でも注目されています。
古くから日本で愛されてきた「藍色」
「ジャパンブルー」と称される藍色は、飛鳥時代に日本に伝わって以来、1300年に渡って使われてきたといわれています。藍色には馴染みのある紺のほか、淡い藍白からより深く濃い紫紺や留紺まで、48色に分けることができます。
あい・あいでは、阿波(徳島県)で600年以上続いている伝統の方法で作られた蒅(すくも)を使用し、これを樫の木の灰や日本酒と一緒に発酵させたものを用いる阿波天然灰汁醗酵建藍染という技法を用いて、染めるのが難しいとされるシルクを中心に藍染めしています。
原料となる、すくもや乾燥させた藍の葉
原料となる、すくもや乾燥させた藍の葉
阿波天然灰汁醗酵建藍染に欠かせない灰
阿波天然灰汁醗酵建藍染に欠かせない灰
かつては先代の父と母の3人で工程を分けて作業していましたが、先代が他界し母も高齢になったため、力の必要な作業のほとんどを1人で行わねばならず、手仕事・力仕事が中心となる藍染業界では類を見ない染色機械を導入。それまで1反までの長さしか染めることができなかった作業が4反の長さを染めることができるようになるなどの効率化をはかりながらも、同時に難しいシルクをどこよりも丁寧に、美しく染めています。
美しい藍色を生み出す、根気強さと誠実さが必要な水洗いと染めの工程
白生地の水洗いを繰り返す。あい・あいでは水洗いもオリジナルの専用機械を用いて行う
白生地の水洗いを繰り返す。あい・あいでは水洗いもオリジナルの専用機械を用いて行う
藍染めは、「巻き取り」と呼ばれる付着している不純物を洗い流し、均一に湿らせ巻き取りしながら絞る工程から始まります。その後、何度も「水洗い」して絹のタンパク質や不純物を取り除いてから初めて「染め」の工程に。 「染め」の工程では、発酵させた藍液に漬けて取り出し、空気にふれさせ酸化させることで発色します。室内の温度を25度で一定に保っていても、生地の状態やその日の空気や湿度、水温など微妙な違いで色合いが変わるため、均等に染めていく必要があります。また、少しでもシワができたり、汗の付着、埃だけでなく気泡が残っているだけでもムラになってしまうため、これらの全てを丁寧に取り除きながら均一に染めることに、最も神経を尖らせなければなりません。
発酵させた藍。栄養と醗酵促進のため日本酒を入れてかき混ぜて調整する
発酵させた藍。栄養と醗酵促進のため日本酒を入れてかき混ぜて調整する
ピンセットで埃や気泡を取り除く
ピンセットで埃や気泡を取り除く
この染めのあとも水洗いを繰り返します。一般的にイメージされる藍色に仕上げる場合は約200回は水洗いと脱水をしなければならないといいます。この作業をいかにしっかりと丁寧に行うかで、色斑のない美しい藍色に繋がってくるのだそう。また、阿波天然灰汁醗酵建藍染の技法を使うことで、シルクの一本一本に絡みつくようにして色が重なっていくため、色落ちしやすい化学染料やインクジェットでは出せない、長持ちする美しい藍色が生まれています。
充分に水洗いをした後は乾燥させます。染めの工程や水洗いの段階では、仕上がりよりも濃く見えるため、この乾燥後の色合いを想像しながら、染める回数を見極めるのも難しいポイント。満足のいく仕上がりに染められるようになるには、3年の修行が必要だとか。
本藍染の本物で勝負。「正直に、細く長く、続けたい」
機械化を導入したといえ、何度も何度も染めと洗いを繰り返さなければいけない本藍染め。商品になるまで最低でも半年はかかるのだそう。短縮すれば1ヶ月や2ヶ月で仕上げることもできるそうですが、そうすると色が落ちやすくなったり、満足のいく美しい色が出せず、10年、20年後の色落ちなどトラブルの原因になることもあるそう。 「親父が死んで後を継いだのが27歳の時でした。今、いい加減な仕事をすると10年後、20年後にトラブルになる。ここで染めた着物を、10代〜40代のお子様と、40代〜70代のお母様が兼用で着ていただけるようにご提案させていただくためには、色落ちしない、長く着ていただけるように、お客様のことを考えて物作りしています」と炭田さん。
「絹の藍染は、藍染に向いている生地をきちんと選ぶ、薬品等を用いず正しく藍を建てる、正しく染める、何度も水洗いと脱水をする、藍留め加工をしっかり行う、この5つの工程が大事なんです。正しくすればするほど時間がかかるので、どれかをサボってしまいたくなるし、時間がかかればかかるほど商売として大変になる。そこをサボらずにがんばれたらいいものができる。もっと安い商品が世の中に出回っているからこそ、ここでは上質なシルクと本藍染の本物で勝負している。染めの原料や染めにこだわっていると言っているところでも、私ほど洗いや脱水にこだわって行っている人も少ないですから」と力強く語ってくれました。 「技術的にはまだまだ上限がない世界なので日々技術を磨きながら、なにより続けていくことが目標です。正直に、細く長く、きちんとした仕事を続けて、藍の色を知っていただき、綺麗だなと思ってもらえるようなものを作っていきたい」 炭田さんの本藍染を通して、藍色の奥深さを、本物の魅力を感じてみてください。
Crafts
Request Production/Product Development
Each craft manufacturer showcased in "MEIHINCHO" boasts its own distinctive and innovative technology. For those interested in leveraging this craftwork technology for OEM or product development, please don't hesitate to reach out to us.