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工芸レポート
足袋を作って100年以上、倉敷に根付く伝統産業
岡山県倉敷市。瀬戸内海に面した穏やかな自然の中、産業と伝統を守り続けるこの町で、株式会社丸五は古くから日本の地下足袋産業の中心でした。
1919年(大正8年)、藤木家の当主だった藤木伊太郎が足袋に人力車のタイヤを加工して縫いつけた「縫いつけ地下足袋」を開発し同社を創業。ワークシューズのパイオニアとして、長きに渡り多くの人々の足元を支えてきました。
丸五がこれまでに手がけてきた足袋の数々。
丸五がこれまでに手がけてきた足袋の数々。
今では倉敷市の美観地区や東京に直営店を構え、従来まで作業用や現場系というイメージだったものを、カジュアルさや健康にもフォーカス。地下足袋を手にしたことがない人をはじめとして、幅広い層に寄り添った新しい地下足袋を社会に提案しています。

現在丸五が展開する足袋の種類は多岐に渡ります。ウエルネス部門という部署を10年前に設立し、ビジネスシーンや日常使いをはじめ、リハビリやスポーツにおける健康へアプローチするための足袋などを開発しています。
例えば、丸みのあるシンプルなデザインが特徴の「coppelia lily(コッペリアリリー)」は、日常使いでも女性らしくエレガントに使える足袋型のフラットシューズ。クラシックバレエの世界観からインスピレーションを受けたそうです。
また、tabiRela(たびりら)というシリーズは、裸足のように地面を掴む感覚が心地良い足袋型のコンフォートシューズです。地場産業である倉敷帆布で作られたカジュアルなデザインで作られており、履いて歩くだけで、足の指や裏を元のあるべき姿に戻す習慣になります。足の痛みや外反母趾など様々な悩みに役立つそうです。
地面からの情報が健康につながる
取材に応じていただいたウエルネス推進部 部長の波止さん。新卒当初はゼネコンで育ったという全くの畑違いですが、丸五に転職して以来、足袋の履き心地を世の中に広めるために奮闘してきました。
ゼネコンからの叩き上げを彷彿させるように、終始ハツラツと取材に応じてくれた波止さん。
ゼネコンからの叩き上げを彷彿させるように、終始ハツラツと取材に応じてくれた波止さん。
足袋の良さは、靴底が薄くて指がしっかり使えることだそうです。足袋をはいて高所作業で働く職人の方々は、足の裏から感じる情報を読みとることでバランス感覚を保ちます。底が薄く作られていることで、足裏の感覚が研ぎ澄まされるのです。

波止さんは、足袋履くことで足が本来の特性を発揮できることについて、様々な分野で活かすためにチャレンジを続けています。例えばスポーツ選手がトレーニング中に使ったり、練習後の疲れた足をケアするためのケアシューズとして提案しています。

足に馴染みやすく素足に近い感覚で歩行することで、足の持つ本来の力を引き出す 丸五の足袋。使う人の履き心地や、足の健康を守ることを第一に考えたものづくりは、製造過程にも現れていました。
底に貼るゴムの形を人の手で微妙に整えていく。
底に貼るゴムの形を人の手で微妙に整えていく。
多くの足型をはじめ治具の設計は自社で行っており、各工程では厳密なルールを設けて品質管理に徹底しています。自動機器に頼りすぎず、職人の手で絶妙な形状を生み出していることも、使い手の使い心地に、ひいては足の健康に直結しているのだと実感しました。
商品点数×サイズ違いともなると金型の数も膨大になるそう。
商品点数×サイズ違いともなると金型の数も膨大になるそう。
布を貼る吊り込みの作業。力を入れつつ曲線に仕上げる技術は習得に数年かかるそう。
布を貼る吊り込みの作業。力を入れつつ曲線に仕上げる技術は習得に数年かかるそう。
店頭で体験していただければ7割近くの高確率で買っていただいており、その履き心地にハマった人は所有するすべての靴を足袋に置き換えるほど、リピーターの層も厚いそうです。
より多くの人に足袋を履いてもらうために
波止さんに今後挑戦していきたいことを伺うと、意外な答えが返ってきました。「見た目は割れていなくて中が割れている。見た目は足袋じゃないけど、足袋の機能を体感できる靴を考えています。」
もっと幅広い層に足袋の良さを知ってもらうためには、履いてもらう機会を増やさないといけない。そのための第一段階として、足袋の指先が割れている見た目そのものに抵抗がある方にどうアプローチするか。それが今考えている新しい挑戦だそうです。足袋本来の見た目にこだわらなくても、靴としての機能に絶対の自信があるからこそ提案できるアイデアだと実感させられました。

波止さんをはじめ丸五に勤める足袋職人たちが、日本中の「足」に着目し、新しい健康のスタイルを日々研究されていて、その成果が数多くの商品点数や多様なデザインに現れています。
これからの足袋業界は現場職人だけでなく、より多くのシーンで様々な人に愛される、そんな可能性を強く感じることができました。
取材・撮影・文:森下 大喜
丸五
locationPin岡山県
#履物-地下足袋
1919年(大正8年)創業の株式会社丸五は、100年以上地下足袋を作り続けています。これまでは作業用のイメージが強かった地下足袋ですが、カジュアルさや健康など、幅広い層にフォーカスした新しい商品も展開しています。
職人募集中
最終更新日 : 2024/12/27
代表者
福田 正彦
創業年
1919年
従業員
140
所在地
〒710-1101 岡山県倉敷市茶屋町1680-1
制作・商品開発を依頼する
「わたしの名品帖」で取り扱っている各工芸メーカーは、独自の光る技術を持っています。 そんな工芸品の技術力を活用したOEMや商品開発などをご検討のお客様はお気軽にご相談ください。
丸五
locationPin岡山県
#履物-地下足袋
1919年(大正8年)創業の株式会社丸五は、100年以上地下足袋を作り続けています。これまでは作業用のイメージが強かった地下足袋ですが、カジュアルさや健康など、幅広い層にフォーカスした新しい商品も展開しています。
職人募集中
最終更新日 : 2024/12/27
代表者
福田 正彦
創業年
1919年
従業員
140
所在地
〒710-1101 岡山県倉敷市茶屋町1680-1
工芸レポート
足袋を作って100年以上、倉敷に根付く伝統産業
岡山県倉敷市。瀬戸内海に面した穏やかな自然の中、産業と伝統を守り続けるこの町で、株式会社丸五は古くから日本の地下足袋産業の中心でした。
1919年(大正8年)、藤木家の当主だった藤木伊太郎が足袋に人力車のタイヤを加工して縫いつけた「縫いつけ地下足袋」を開発し同社を創業。ワークシューズのパイオニアとして、長きに渡り多くの人々の足元を支えてきました。
丸五がこれまでに手がけてきた足袋の数々。
丸五がこれまでに手がけてきた足袋の数々。
今では倉敷市の美観地区や東京に直営店を構え、従来まで作業用や現場系というイメージだったものを、カジュアルさや健康にもフォーカス。地下足袋を手にしたことがない人をはじめとして、幅広い層に寄り添った新しい地下足袋を社会に提案しています。

現在丸五が展開する足袋の種類は多岐に渡ります。ウエルネス部門という部署を10年前に設立し、ビジネスシーンや日常使いをはじめ、リハビリやスポーツにおける健康へアプローチするための足袋などを開発しています。
例えば、丸みのあるシンプルなデザインが特徴の「coppelia lily(コッペリアリリー)」は、日常使いでも女性らしくエレガントに使える足袋型のフラットシューズ。クラシックバレエの世界観からインスピレーションを受けたそうです。
また、tabiRela(たびりら)というシリーズは、裸足のように地面を掴む感覚が心地良い足袋型のコンフォートシューズです。地場産業である倉敷帆布で作られたカジュアルなデザインで作られており、履いて歩くだけで、足の指や裏を元のあるべき姿に戻す習慣になります。足の痛みや外反母趾など様々な悩みに役立つそうです。
地面からの情報が健康につながる
取材に応じていただいたウエルネス推進部 部長の波止さん。新卒当初はゼネコンで育ったという全くの畑違いですが、丸五に転職して以来、足袋の履き心地を世の中に広めるために奮闘してきました。
ゼネコンからの叩き上げを彷彿させるように、終始ハツラツと取材に応じてくれた波止さん。
ゼネコンからの叩き上げを彷彿させるように、終始ハツラツと取材に応じてくれた波止さん。
足袋の良さは、靴底が薄くて指がしっかり使えることだそうです。足袋をはいて高所作業で働く職人の方々は、足の裏から感じる情報を読みとることでバランス感覚を保ちます。底が薄く作られていることで、足裏の感覚が研ぎ澄まされるのです。

波止さんは、足袋履くことで足が本来の特性を発揮できることについて、様々な分野で活かすためにチャレンジを続けています。例えばスポーツ選手がトレーニング中に使ったり、練習後の疲れた足をケアするためのケアシューズとして提案しています。

足に馴染みやすく素足に近い感覚で歩行することで、足の持つ本来の力を引き出す 丸五の足袋。使う人の履き心地や、足の健康を守ることを第一に考えたものづくりは、製造過程にも現れていました。
底に貼るゴムの形を人の手で微妙に整えていく。
底に貼るゴムの形を人の手で微妙に整えていく。
多くの足型をはじめ治具の設計は自社で行っており、各工程では厳密なルールを設けて品質管理に徹底しています。自動機器に頼りすぎず、職人の手で絶妙な形状を生み出していることも、使い手の使い心地に、ひいては足の健康に直結しているのだと実感しました。
商品点数×サイズ違いともなると金型の数も膨大になるそう。
商品点数×サイズ違いともなると金型の数も膨大になるそう。
布を貼る吊り込みの作業。力を入れつつ曲線に仕上げる技術は習得に数年かかるそう。
布を貼る吊り込みの作業。力を入れつつ曲線に仕上げる技術は習得に数年かかるそう。
店頭で体験していただければ7割近くの高確率で買っていただいており、その履き心地にハマった人は所有するすべての靴を足袋に置き換えるほど、リピーターの層も厚いそうです。
より多くの人に足袋を履いてもらうために
波止さんに今後挑戦していきたいことを伺うと、意外な答えが返ってきました。「見た目は割れていなくて中が割れている。見た目は足袋じゃないけど、足袋の機能を体感できる靴を考えています。」
もっと幅広い層に足袋の良さを知ってもらうためには、履いてもらう機会を増やさないといけない。そのための第一段階として、足袋の指先が割れている見た目そのものに抵抗がある方にどうアプローチするか。それが今考えている新しい挑戦だそうです。足袋本来の見た目にこだわらなくても、靴としての機能に絶対の自信があるからこそ提案できるアイデアだと実感させられました。

波止さんをはじめ丸五に勤める足袋職人たちが、日本中の「足」に着目し、新しい健康のスタイルを日々研究されていて、その成果が数多くの商品点数や多様なデザインに現れています。
これからの足袋業界は現場職人だけでなく、より多くのシーンで様々な人に愛される、そんな可能性を強く感じることができました。
取材・撮影・文:森下 大喜
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