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工芸レポート
4大漆器である紀州漆器の産地 和歌山県海南市にて、1950年代に創業した山家漆器店。
海南市は全盛期には約700社もの漆器メーカーがあり、現在も100社ほどの工房が軒を連ねています。
塗り加工を主とする漆器製造メーカーでありながら ECサイト運営を軸に紀州漆器業界全体の販売・営業に力を入れているのが特徴です。
2023年に就任された若き現代表4代目山家優一(やまがゆういち)さんが運営方針を定め指揮をとり先代の漆器塗り職人 父 俊二さんを中心に制作を務めます。
優一さんは、承継以前は電設企業に勤務し、ミャンマーで工事の資料作りや案件の管理などを担当されていました。赴任当時出会った同世代のビジネスパーソンに感化され家業を継ぐことを意識されるようになり、手始めとして遠隔でのECサイト運営をはじめられたそうです。
帰国した現在は自社ECサイト運営の他、株式会社山家として塗り物を生かした新たなビジネスや販売支援等を展開し、従来高級で扱いが難しいイメージのある漆器を、より身近に日常に溶け込む形で提供しています。
漆器文化を繋ぐ。垣根を越えた革新的な取り組み
山家漆器店は、俊二さんの代に紀州漆器工房4社合同で立ち上げた企画販売会社 KISHU + にも参画し、漆器の技法を取り入れたインテリア・照明などを展開。紀州漆器の新たな可能性を模索するブランドとして海外に販路を拓く活動もしています。
2017年には優一さんも参画されたことで海外でのコミュニケーションも向上、2018-20年にはパリでの出展も果たし、2019年パリのメゾンエオブジェにKISHU +から出展したシリーズ「AKARI IN JAPAN」はCool Award 2019を受賞しました。
KISHU+「AKARI IN JAPAN-KOMOREBI」
KISHU+「AKARI IN JAPAN-KOMOREBI」
4代目の山家優一さん
4代目の山家優一さん
“工芸とはものづくり。ものづくりは進化の連続”と語られる優一さん
“かつて中東やヨーロッパからの何千何万の注文を回すために、プラスチックを取り入れて伝統を壊した。漆器という和食器をリブランディングして、革新的に進んだからこそ、大きくなった。” また自社のこだわりだけに着目するのではなく、ユーザーの目線を持つことを大切にされており“例えば、お客さんが茶碗が欲しい時に、セットで箸もほしい人がいたら、自社で箸が作れないならば仕入れるという方法もある”と語られる優一さん。
古くから続く伝統工芸である紀州漆器を残すため、同業者とも協力したり、漆器の技術が新しく関われる業界との仕事も積極的に模索したり、作り手同士の関係性・企業ニーズ・ユーザーの視点それぞれを大切に、複層的アプローチで革新的に歩みを進めています。
NOと言わないチャレンジ精神とコミュニティの協力体制
山家漆器店の強みは、はじめてのことでもまずやってみるというチャレンジ精神と どんな難しい注文でも近隣同業者に相談するコミュニティがあること。 看板や靴べらなど簡単に塗れないものにトライする際には、塗るための道具“治具”を一から 考え作るところから始まります。治具が効率を左右するので、良い治具を思いつくか否かが、依頼を引き受ける際の判断基準でもあります。
治具作りが難航する際は、同業者に相談することも・・・。
例えば優一さんの同級生 町田智哉さんは難しい依頼を振れる仲間で、 制作作業に長けた漆塗り職人の町田さんと、渉外中心で縁を繋げる山家優一さんは、お互い持ちつ持たれつの関係です。
ノウハウを持つ頼れる人と快く相談し合える関係性のコミュニティで、新しいものや難しさを伴う案件も協力して乗り越えられます。
同級生で漆塗り職人の町田智哉さん
同級生で漆塗り職人の町田智哉さん
会社名より文化そのものを・・・漆器に重ねるあたたかな夢
「”漆器というものを廃れさせたくない”というのがあるんです。山家漆器店の名前はあんまりいらない気がしてクロコ(黒子)でいいんですよね。」と優一さん。
“漆器を使う文化は、なんとなく選んだ味噌汁碗を使うことから始まる”と続け 一人暮らしを始めるタイミングなど生活の中で無意識に選ぶ器の選択肢に入り続けることや、 漆器とユーザーの接点を増やす重要性を説かれます。
会社名や自社製品にこだわるばかりではなく、文化としての漆器の承継と進展を願い取り組まれています。
また“漆器で遊ぶ”をテーマに掲げ、他のものとの掛け合わせで漆器を世の中に落とし込んでいきます。例えば近隣のテーマパーク アドベンチャーワールドでは、LIMEX製のカップを使用後回収しパーク内でトレーとして再利用する取り組みをしており、そのトレーを塗装する依頼を受けました。これにより漆器×SDGsが実現。声をかけてもらう機会には掛け算で応え、産地のパートナーたちと協力しながら日々新しいことに挑戦しています。
アドベンチャーワールドから依頼を受けて製作したトレー
アドベンチャーワールドから依頼を受けて製作したトレー
“漆器をはじめ、工芸品を使えば、戦争がなくなるのではないか、と考えている。余裕のないところに価値を感じてるから、喧嘩する。進んで曲げわっぱを使っている人は穏やかでしょう、みんなの私物が変われば戦争もなくなる”
人と人の繋がりを大事にする優一さんは漆器にあたたかな未来を重ねます。
取材:伊藤 優利 撮影:森下 大喜 文:下野 恵美子
山家漆器店
locationPin和歌山県
#漆器-紀州漆器
漆器の製造だけでなく、紀州漆器業界全体を盛り上げるべく、販売・営業にもアイデアを凝らし、力を入れている山家漆器店。
職人募集中
最終更新日 : 2024/02/17
代表者
山家 優一
創業年
1950年
従業員
6
所在地
〒642-0012 和歌山県海南市岡田223−1
制作・商品開発を依頼する
「わたしの名品帖」で取り扱っている各工芸メーカーは、独自の光る技術を持っています。 そんな工芸品の技術力を活用したOEMや商品開発などをご検討のお客様はお気軽にご相談ください。
山家漆器店
locationPin和歌山県
#漆器-紀州漆器
漆器の製造だけでなく、紀州漆器業界全体を盛り上げるべく、販売・営業にもアイデアを凝らし、力を入れている山家漆器店。
職人募集中
最終更新日 : 2024/02/17
代表者
山家 優一
創業年
1950年
従業員
6
所在地
〒642-0012 和歌山県海南市岡田223−1
工芸レポート
4大漆器である紀州漆器の産地 和歌山県海南市にて、1950年代に創業した山家漆器店。
海南市は全盛期には約700社もの漆器メーカーがあり、現在も100社ほどの工房が軒を連ねています。
塗り加工を主とする漆器製造メーカーでありながら ECサイト運営を軸に紀州漆器業界全体の販売・営業に力を入れているのが特徴です。
2023年に就任された若き現代表4代目山家優一(やまがゆういち)さんが運営方針を定め指揮をとり先代の漆器塗り職人 父 俊二さんを中心に制作を務めます。
優一さんは、承継以前は電設企業に勤務し、ミャンマーで工事の資料作りや案件の管理などを担当されていました。赴任当時出会った同世代のビジネスパーソンに感化され家業を継ぐことを意識されるようになり、手始めとして遠隔でのECサイト運営をはじめられたそうです。
帰国した現在は自社ECサイト運営の他、株式会社山家として塗り物を生かした新たなビジネスや販売支援等を展開し、従来高級で扱いが難しいイメージのある漆器を、より身近に日常に溶け込む形で提供しています。
漆器文化を繋ぐ。垣根を越えた革新的な取り組み
山家漆器店は、俊二さんの代に紀州漆器工房4社合同で立ち上げた企画販売会社 KISHU + にも参画し、漆器の技法を取り入れたインテリア・照明などを展開。紀州漆器の新たな可能性を模索するブランドとして海外に販路を拓く活動もしています。
2017年には優一さんも参画されたことで海外でのコミュニケーションも向上、2018-20年にはパリでの出展も果たし、2019年パリのメゾンエオブジェにKISHU +から出展したシリーズ「AKARI IN JAPAN」はCool Award 2019を受賞しました。
KISHU+「AKARI IN JAPAN-KOMOREBI」
KISHU+「AKARI IN JAPAN-KOMOREBI」
4代目の山家優一さん
4代目の山家優一さん
“工芸とはものづくり。ものづくりは進化の連続”と語られる優一さん
“かつて中東やヨーロッパからの何千何万の注文を回すために、プラスチックを取り入れて伝統を壊した。漆器という和食器をリブランディングして、革新的に進んだからこそ、大きくなった。” また自社のこだわりだけに着目するのではなく、ユーザーの目線を持つことを大切にされており“例えば、お客さんが茶碗が欲しい時に、セットで箸もほしい人がいたら、自社で箸が作れないならば仕入れるという方法もある”と語られる優一さん。
古くから続く伝統工芸である紀州漆器を残すため、同業者とも協力したり、漆器の技術が新しく関われる業界との仕事も積極的に模索したり、作り手同士の関係性・企業ニーズ・ユーザーの視点それぞれを大切に、複層的アプローチで革新的に歩みを進めています。
NOと言わないチャレンジ精神とコミュニティの協力体制
山家漆器店の強みは、はじめてのことでもまずやってみるというチャレンジ精神と どんな難しい注文でも近隣同業者に相談するコミュニティがあること。 看板や靴べらなど簡単に塗れないものにトライする際には、塗るための道具“治具”を一から 考え作るところから始まります。治具が効率を左右するので、良い治具を思いつくか否かが、依頼を引き受ける際の判断基準でもあります。
治具作りが難航する際は、同業者に相談することも・・・。
例えば優一さんの同級生 町田智哉さんは難しい依頼を振れる仲間で、 制作作業に長けた漆塗り職人の町田さんと、渉外中心で縁を繋げる山家優一さんは、お互い持ちつ持たれつの関係です。
ノウハウを持つ頼れる人と快く相談し合える関係性のコミュニティで、新しいものや難しさを伴う案件も協力して乗り越えられます。
同級生で漆塗り職人の町田智哉さん
同級生で漆塗り職人の町田智哉さん
会社名より文化そのものを・・・漆器に重ねるあたたかな夢
「”漆器というものを廃れさせたくない”というのがあるんです。山家漆器店の名前はあんまりいらない気がしてクロコ(黒子)でいいんですよね。」と優一さん。
“漆器を使う文化は、なんとなく選んだ味噌汁碗を使うことから始まる”と続け 一人暮らしを始めるタイミングなど生活の中で無意識に選ぶ器の選択肢に入り続けることや、 漆器とユーザーの接点を増やす重要性を説かれます。
会社名や自社製品にこだわるばかりではなく、文化としての漆器の承継と進展を願い取り組まれています。
また“漆器で遊ぶ”をテーマに掲げ、他のものとの掛け合わせで漆器を世の中に落とし込んでいきます。例えば近隣のテーマパーク アドベンチャーワールドでは、LIMEX製のカップを使用後回収しパーク内でトレーとして再利用する取り組みをしており、そのトレーを塗装する依頼を受けました。これにより漆器×SDGsが実現。声をかけてもらう機会には掛け算で応え、産地のパートナーたちと協力しながら日々新しいことに挑戦しています。
アドベンチャーワールドから依頼を受けて製作したトレー
アドベンチャーワールドから依頼を受けて製作したトレー
“漆器をはじめ、工芸品を使えば、戦争がなくなるのではないか、と考えている。余裕のないところに価値を感じてるから、喧嘩する。進んで曲げわっぱを使っている人は穏やかでしょう、みんなの私物が変われば戦争もなくなる”
人と人の繋がりを大事にする優一さんは漆器にあたたかな未来を重ねます。
取材:伊藤 優利 撮影:森下 大喜 文:下野 恵美子
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山家漆器店
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KISHU+AKARI IN JAPAN-SHIZUKU
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