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工芸レポート
未空うるし工芸は、漆を用いてさまざまな素材との融合により、新しい漆塗り製品を世に生み出しています。革製品に漆を施した「jaCHRO」シリーズを始め、近年ではバイクの車体やアイテムに漆を施した「COHANE」シリーズも展開。伝統技法を大切に守り続けながら、時代に合わせた新しいモノづくりに挑戦しています。
生き様を体現した
オンリーワンのものづくり
「ここ本当に漆器屋さん?」思わずそう呟いてしまうような店内は、ヴィンテージのハーレーダビッドソンをはじめ、ヌメ革財布、Fenderのギターなど男のロマンが随所に散りばめられている。もちろんこれら全てには漆が施されています。工房から颯爽と現れたのは岩原裕右さん。
岩原さん。期待を裏切らないロックな出で立ちだ。
岩原さん。期待を裏切らないロックな出で立ちだ。
「革ジャン着て、バイクにまたがって。高校の頃にそんな世界に憧れて。好きなことを仕事にしたいという思いはずっとありました。僕のモノづくりの原点はそこにあります」。

漆職人への道は全く考えていなかったと岩原さん。ですが独立心だけは常に抱えながら、建設会社、革やシルバーのアクセサリー販売、金属の溶接・加工会社と様々なものづくりの現場を渡り歩いてきました。そんなとき、ふとしたきっかけで家業である漆器の会社に入社。「独立を考えたときに1番近いのかも。モノを作ってなんとなくやりがいのある仕事なのかなと当時は思っていました。結果的にそんな甘い世界じゃなかったので、独立なんていつ出来るんだろうって入ってすぐに気付きましたけど(笑)」。漆業界自体の仕事量が減ってきて、そもそもの仕事がなかった。ならばと自分で工房を借りて、実験的に様々な素材に漆を塗ってみたり、小さい仕事を受けたりし始めたのがこの未空うるし工芸のはじまりです。
工房内のギャラリー
工房内のギャラリー
漆と革が織りなす
唯一無二の経年変化
革製品に漆を施す「jaCHRO」シリーズ。漆と言えば、食器や紙・木材など、硬い素材に塗られ、柔らかいものに塗ると割れてしまうイメージがありますが、岩原さんは特殊な方法で漆塗りをレザーに加工する独自技術を編み出しました。「漆に革の全面塗布はシワの逃げる場所がないから割れやすくて、何度もやっては割れてを繰り返しながら辿り着きました。終わってみると、やってることはめちゃくちゃ単純。しかし今まで革業界にいた人で漆をやっている人がいないので、同じものを作れる人がいないんです。革の知識があればそんなに難しいことではない」。
「jaCHRO」の長財布
「jaCHRO」の長財布
革も漆も、それぞれ経年変化を味わうことができる素材。下地となる上質なヌメ革は濃い飴色へと変化し、漆は空気や紫外線に触れて経年変化が生まれ、時間の経過とともに色が鮮やかに冴えてゆきます。
バイクやアクセサリー関係にも漆を施す 「COHANE」シリーズ
コロナ禍で人と人との関わりが希薄になる中で、漆器に魅力を直接手に取ってもらって、温もりや肌感を伝えたいとの想いから、広告塔として、ヴェンテージハーレーに漆を施しました。
主に用いた技法は2種。堆朱(ついしゅ)塗りと、白檀塗りです。堆朱塗りとは、幾重にも漆を重ねることで、そうが模様になって現れる、木曽漆器を代表する技法です。そこに本金箔の上に漆塗りを施して模様を浮かび上がらせるに白檀塗りを加えることで、漆ならではの独特の模様と漆の照りが奥深い輝きを生みます。
未来の空に羽ばたく
「根底にあるのは食わなきゃ行けない。だから多少は売れたらいいなとも思うし、だけどやっぱり自分で使いたくないようなものは作りたくない。作る気がしない。だからぼくが作っているものは自分でもやっぱり使いたいと思う。こんなんあったらバイクカッコよくなるなとか、このメットいいなとか。直感で動いてきて、自分の好きなところで勝負しているから、絶対売れるぜ!なんて思って作っていない。あったら俺だったら使うけどな!くらいの感覚。革なんてほんとそう。自分が元々好きで、なんとなく塗れるんじゃないかな、というところから始まって。そこでたまたま需要があって。運がよかったんでしょうね(笑)」。

未空うるし工芸の屋号は、岩原さんのお子様の名前から由来している。「これも直感で決めちゃったんですけど、さすがに安易すぎたと反省しています(笑)」。そうやって自身の直感を頼りに未来を切り開いて、モノづくりの世界で懸命に羽ばたく岩原さんの次なる展開に注目したい。
取材:山田純也 撮影:後藤彩実
未空うるし工芸
locationPin長野県
#漆器-木曽漆器
未空うるし工芸は、漆を用いて、革製品やバイクなどさまざまな素材との融合により、新しい漆塗りの製品づくりに挑戦しています。
最終更新日 : 2023/11/28
代表者
岩原裕右
創業年
2012年
従業員
1
所在地
〒399-6302 長野県塩尻市木曽平沢1905番地7
制作・商品開発を依頼する
「わたしの名品帖」で取り扱っている各工芸メーカーは、独自の光る技術を持っています。 そんな工芸品の技術力を活用したOEMや商品開発などをご検討のお客様はお気軽にご相談ください。
未空うるし工芸
locationPin長野県
#漆器-木曽漆器
未空うるし工芸は、漆を用いて、革製品やバイクなどさまざまな素材との融合により、新しい漆塗りの製品づくりに挑戦しています。
最終更新日 : 2023/11/28
代表者
岩原裕右
創業年
2012年
従業員
1
所在地
〒399-6302 長野県塩尻市木曽平沢1905番地7
工芸レポート
未空うるし工芸は、漆を用いてさまざまな素材との融合により、新しい漆塗り製品を世に生み出しています。革製品に漆を施した「jaCHRO」シリーズを始め、近年ではバイクの車体やアイテムに漆を施した「COHANE」シリーズも展開。伝統技法を大切に守り続けながら、時代に合わせた新しいモノづくりに挑戦しています。
生き様を体現した
オンリーワンのものづくり
「ここ本当に漆器屋さん?」思わずそう呟いてしまうような店内は、ヴィンテージのハーレーダビッドソンをはじめ、ヌメ革財布、Fenderのギターなど男のロマンが随所に散りばめられている。もちろんこれら全てには漆が施されています。工房から颯爽と現れたのは岩原裕右さん。
岩原さん。期待を裏切らないロックな出で立ちだ。
岩原さん。期待を裏切らないロックな出で立ちだ。
「革ジャン着て、バイクにまたがって。高校の頃にそんな世界に憧れて。好きなことを仕事にしたいという思いはずっとありました。僕のモノづくりの原点はそこにあります」。

漆職人への道は全く考えていなかったと岩原さん。ですが独立心だけは常に抱えながら、建設会社、革やシルバーのアクセサリー販売、金属の溶接・加工会社と様々なものづくりの現場を渡り歩いてきました。そんなとき、ふとしたきっかけで家業である漆器の会社に入社。「独立を考えたときに1番近いのかも。モノを作ってなんとなくやりがいのある仕事なのかなと当時は思っていました。結果的にそんな甘い世界じゃなかったので、独立なんていつ出来るんだろうって入ってすぐに気付きましたけど(笑)」。漆業界自体の仕事量が減ってきて、そもそもの仕事がなかった。ならばと自分で工房を借りて、実験的に様々な素材に漆を塗ってみたり、小さい仕事を受けたりし始めたのがこの未空うるし工芸のはじまりです。
工房内のギャラリー
工房内のギャラリー
漆と革が織りなす
唯一無二の経年変化
革製品に漆を施す「jaCHRO」シリーズ。漆と言えば、食器や紙・木材など、硬い素材に塗られ、柔らかいものに塗ると割れてしまうイメージがありますが、岩原さんは特殊な方法で漆塗りをレザーに加工する独自技術を編み出しました。「漆に革の全面塗布はシワの逃げる場所がないから割れやすくて、何度もやっては割れてを繰り返しながら辿り着きました。終わってみると、やってることはめちゃくちゃ単純。しかし今まで革業界にいた人で漆をやっている人がいないので、同じものを作れる人がいないんです。革の知識があればそんなに難しいことではない」。
「jaCHRO」の長財布
「jaCHRO」の長財布
革も漆も、それぞれ経年変化を味わうことができる素材。下地となる上質なヌメ革は濃い飴色へと変化し、漆は空気や紫外線に触れて経年変化が生まれ、時間の経過とともに色が鮮やかに冴えてゆきます。
バイクやアクセサリー関係にも漆を施す 「COHANE」シリーズ
コロナ禍で人と人との関わりが希薄になる中で、漆器に魅力を直接手に取ってもらって、温もりや肌感を伝えたいとの想いから、広告塔として、ヴェンテージハーレーに漆を施しました。
主に用いた技法は2種。堆朱(ついしゅ)塗りと、白檀塗りです。堆朱塗りとは、幾重にも漆を重ねることで、そうが模様になって現れる、木曽漆器を代表する技法です。そこに本金箔の上に漆塗りを施して模様を浮かび上がらせるに白檀塗りを加えることで、漆ならではの独特の模様と漆の照りが奥深い輝きを生みます。
未来の空に羽ばたく
「根底にあるのは食わなきゃ行けない。だから多少は売れたらいいなとも思うし、だけどやっぱり自分で使いたくないようなものは作りたくない。作る気がしない。だからぼくが作っているものは自分でもやっぱり使いたいと思う。こんなんあったらバイクカッコよくなるなとか、このメットいいなとか。直感で動いてきて、自分の好きなところで勝負しているから、絶対売れるぜ!なんて思って作っていない。あったら俺だったら使うけどな!くらいの感覚。革なんてほんとそう。自分が元々好きで、なんとなく塗れるんじゃないかな、というところから始まって。そこでたまたま需要があって。運がよかったんでしょうね(笑)」。

未空うるし工芸の屋号は、岩原さんのお子様の名前から由来している。「これも直感で決めちゃったんですけど、さすがに安易すぎたと反省しています(笑)」。そうやって自身の直感を頼りに未来を切り開いて、モノづくりの世界で懸命に羽ばたく岩原さんの次なる展開に注目したい。
取材:山田純也 撮影:後藤彩実
工芸品
jaCHRO ロングウォレット
jaCHRO ロングウォレット
COHANE ヘルメット
COHANE ヘルメット
COHANE ヴィンテージ ハーレー
COHANE ヴィンテージ ハーレー
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