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工芸レポート
漆とガラスの華麗なるマリアージュ
決して交わることのなかった「漆」と「ガラス」を融合させ、「漆ガラス」へと昇華させたのは丸嘉小坂漆器店。その中でも、職人が手作業で丁寧に塗り描かれた繊細な模様や色使いが特徴の「百色-hyakushiki-」シリーズは、現代の伝統工芸において格別な輝きを放っています。
制作風景
制作風景
丸嘉小坂漆器店は1945年創業。元々は下地屋さんとして始まり、祖父の代から、2代目で父、そして3代目で現当主の小坂玲央さんへと受け継がれました。
漆器の工程は大まかに4つに分業されており、主に木地、下地、上塗り、そして絵付けなどの仕上げ作業が加わります。
創業時は漆器産業が盛んで、下地屋さんとして順調だったもののバブル崩壊後に注文がパタリと来なくなりました。倒産の危機に瀕した二代目は「何か自分たちでモノを作って売っていかないといけない」と自社ブランドの立ち上げに舵を切り、「漆を塗った硝子製品が出来れば、今まで誰も見たことのない美しい商品になる」そんな一途な想いを掲げ、長野県の工業試験所と共同開発でガラスに漆を定着させる技術を開発。そうして生まれたブランドが「すいとうよ」です。
すいとうよのグラス
すいとうよのグラス
漆とガラスは相性が悪く定着させることは不可能とまで。しかし作り手の並々ならぬ想いが、相反する2つを好き同士へと導きました。そうしたストーリー性とガラスの産地として有名な長崎の方言をなぞらえて「すいとうよ」と名付けられました。ブランド名には作り手の想いが込められています。
漆ガラスのリ・ブランディング
「私が入社した頃の漆塗りのガラス製品がほとんど売れてなくて、会社の中で1割くらいしか売り上げが立っていなかった」と店主の小坂さん。「すいとうよ」も時代の移ろいとともにその輝きは埋もれてしまいました。
小坂玲央さん
小坂玲央さん
店舗外観
店舗外観
家業を継ぐ気がなかった小坂さんは大学を出て一般の企業に就職。日々を忙しなく過ごす中でふと社会人目線に家の仕事を客観的に見つめたとき、目線がガラッと変わったことに気付いて次々とアイデアが溢れてきました。ガラス製品の売り上げの伸ばしていきたいという想い。チャレンジしてみたいという気持ちで居ても立っても居られなくなり、そうしてモノづくりの世界へと飛び込みました。そこから下積みを経て、「漆ガラス」のリブランディングという形で新ブランド「百色-hyakushiki-」を立ち上げ。

名称は「百色眼鏡」(ひゃくいろめがね)とも呼ばれる万華鏡から由来しています。「万華鏡は模様が刻々と変わって同じ模様が出ないと言われていますがそれは漆も同じです。塗ったときの温度や湿度によって色が変わってしまうため、昨日塗ったものと同じ調合の漆も今日塗れば同じ色は出ません。また刻々と変化する時代に合わせて、自分たちも変化していくという考えにもマッチしました」。

そうしてカタログからパッケージ、ウェブサイトまで外部デザイナーと二人三脚で全部整え、百貨店催事が中心だった販売方法から全国展開を見据え、販路拡大を目指していく。
「百色の一番の特徴は、職人の手作業が元々あった製品に比べて圧倒的に多いことです。たとえば線を入れる順番とか太さなどにも気を使っていて、金色の一本の線を手前に入れるのか奥にするのか。そういった細かなところまで試作段階から徹底的にこだわっています」。現代的なデザインでありながらも日本の伝統や温かみを感じられる美しさです。
未来へ、つなげていく
「百色」が全国的に広がることで、「すいとうよ」も再び陽の目を浴びることとなりました。また若い世代向けに漆を魅力が伝わるようにとアクセサリーブランド「Jeweki(樹液)」を立ち上げるなど、常に新しい挑戦を続けています。
アクセサリーブランド「Jeweki(樹液)」。
アクセサリーブランド「Jeweki(樹液)」。
「同じことを繰り返すことが伝統だと思っていなくて。伝統工芸って時代を振り返ってみると同じものをずっと作ってたわけじゃなくて、その時代の流行りとかに合わせて違うものを作っている。それはいつの時代だって同じで、現代に合わせてものづくりをしていく。僕たちは、それをちゃんと自分たちでお客様に届けることが出来ていればいいなと。なので僕が引退して次の世代に託すときには、これをまるっと変えてもらってもいいと思っている。家業はただ名前を継いだ感覚に近い。だから必然的に次の世代に繋げていくという感覚でいます」。

日本の技術や伝統、美意識を次の時代に繋げていくために。時代のニーズを見据えて新しいものを吸収しながら、丸嘉小坂漆器店は日々ものづくりに向き合っています。
取材:山田純也 撮影:後藤彩実
丸嘉小坂漆器店
locationPin長野県
#漆器-木曽漆器
長野県の木曽で創業以来70年以上に渡り、漆を生業としてきた職人工房、丸嘉小坂漆器店。
体験OK
最終更新日 : 2023/10/24
代表者
小坂玲央
創業年
1945年
従業員
5
所在地
〒399-6302 長野県塩尻市木曽平沢1817−1
制作・商品開発を依頼する
「わたしの名品帖」で取り扱っている各工芸メーカーは、独自の光る技術を持っています。 そんな工芸品の技術力を活用したOEMや商品開発などをご検討のお客様はお気軽にご相談ください。
丸嘉小坂漆器店
locationPin長野県
#漆器-木曽漆器
長野県の木曽で創業以来70年以上に渡り、漆を生業としてきた職人工房、丸嘉小坂漆器店。
体験OK
最終更新日 : 2023/10/24
代表者
小坂玲央
創業年
1945年
従業員
5
所在地
〒399-6302 長野県塩尻市木曽平沢1817−1
工芸レポート
漆とガラスの華麗なるマリアージュ
決して交わることのなかった「漆」と「ガラス」を融合させ、「漆ガラス」へと昇華させたのは丸嘉小坂漆器店。その中でも、職人が手作業で丁寧に塗り描かれた繊細な模様や色使いが特徴の「百色-hyakushiki-」シリーズは、現代の伝統工芸において格別な輝きを放っています。
制作風景
制作風景
丸嘉小坂漆器店は1945年創業。元々は下地屋さんとして始まり、祖父の代から、2代目で父、そして3代目で現当主の小坂玲央さんへと受け継がれました。
漆器の工程は大まかに4つに分業されており、主に木地、下地、上塗り、そして絵付けなどの仕上げ作業が加わります。
創業時は漆器産業が盛んで、下地屋さんとして順調だったもののバブル崩壊後に注文がパタリと来なくなりました。倒産の危機に瀕した二代目は「何か自分たちでモノを作って売っていかないといけない」と自社ブランドの立ち上げに舵を切り、「漆を塗った硝子製品が出来れば、今まで誰も見たことのない美しい商品になる」そんな一途な想いを掲げ、長野県の工業試験所と共同開発でガラスに漆を定着させる技術を開発。そうして生まれたブランドが「すいとうよ」です。
すいとうよのグラス
すいとうよのグラス
漆とガラスは相性が悪く定着させることは不可能とまで。しかし作り手の並々ならぬ想いが、相反する2つを好き同士へと導きました。そうしたストーリー性とガラスの産地として有名な長崎の方言をなぞらえて「すいとうよ」と名付けられました。ブランド名には作り手の想いが込められています。
漆ガラスのリ・ブランディング
「私が入社した頃の漆塗りのガラス製品がほとんど売れてなくて、会社の中で1割くらいしか売り上げが立っていなかった」と店主の小坂さん。「すいとうよ」も時代の移ろいとともにその輝きは埋もれてしまいました。
小坂玲央さん
小坂玲央さん
店舗外観
店舗外観
家業を継ぐ気がなかった小坂さんは大学を出て一般の企業に就職。日々を忙しなく過ごす中でふと社会人目線に家の仕事を客観的に見つめたとき、目線がガラッと変わったことに気付いて次々とアイデアが溢れてきました。ガラス製品の売り上げの伸ばしていきたいという想い。チャレンジしてみたいという気持ちで居ても立っても居られなくなり、そうしてモノづくりの世界へと飛び込みました。そこから下積みを経て、「漆ガラス」のリブランディングという形で新ブランド「百色-hyakushiki-」を立ち上げ。

名称は「百色眼鏡」(ひゃくいろめがね)とも呼ばれる万華鏡から由来しています。「万華鏡は模様が刻々と変わって同じ模様が出ないと言われていますがそれは漆も同じです。塗ったときの温度や湿度によって色が変わってしまうため、昨日塗ったものと同じ調合の漆も今日塗れば同じ色は出ません。また刻々と変化する時代に合わせて、自分たちも変化していくという考えにもマッチしました」。

そうしてカタログからパッケージ、ウェブサイトまで外部デザイナーと二人三脚で全部整え、百貨店催事が中心だった販売方法から全国展開を見据え、販路拡大を目指していく。
「百色の一番の特徴は、職人の手作業が元々あった製品に比べて圧倒的に多いことです。たとえば線を入れる順番とか太さなどにも気を使っていて、金色の一本の線を手前に入れるのか奥にするのか。そういった細かなところまで試作段階から徹底的にこだわっています」。現代的なデザインでありながらも日本の伝統や温かみを感じられる美しさです。
未来へ、つなげていく
「百色」が全国的に広がることで、「すいとうよ」も再び陽の目を浴びることとなりました。また若い世代向けに漆を魅力が伝わるようにとアクセサリーブランド「Jeweki(樹液)」を立ち上げるなど、常に新しい挑戦を続けています。
アクセサリーブランド「Jeweki(樹液)」。
アクセサリーブランド「Jeweki(樹液)」。
「同じことを繰り返すことが伝統だと思っていなくて。伝統工芸って時代を振り返ってみると同じものをずっと作ってたわけじゃなくて、その時代の流行りとかに合わせて違うものを作っている。それはいつの時代だって同じで、現代に合わせてものづくりをしていく。僕たちは、それをちゃんと自分たちでお客様に届けることが出来ていればいいなと。なので僕が引退して次の世代に託すときには、これをまるっと変えてもらってもいいと思っている。家業はただ名前を継いだ感覚に近い。だから必然的に次の世代に繋げていくという感覚でいます」。

日本の技術や伝統、美意識を次の時代に繋げていくために。時代のニーズを見据えて新しいものを吸収しながら、丸嘉小坂漆器店は日々ものづくりに向き合っています。
取材:山田純也 撮影:後藤彩実
工芸品
Jeweki
Jeweki
百色-hyakushiki
百色-hyakushiki
百色-hyakushiki
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