山崎麻織物工房

能登上布

<h1>能登の自然を語り継ぐ「能登上布」</h1>
<paragraph>明治24年から続く石川県能登地方の伝統織物「能登上布」を継承する唯一の工房が「山崎麻織物工房」です。「能登上布」とは石川県無形文化財に指定されている上質な麻織物で、約2000年前に崇神天皇の皇女が中能登地方で機織りを教えたことが起源だと伝えられています。<br />

原料である麻は、一般的なリネン（亜麻）ではなく、日本古来から使われてきたラミー（苧麻）を100％使用しており、能登上布の着物は、蝉の羽のような透け感や光沢感、手織りの素材感、緻密な絣柄が特徴です。</paragraph>
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<paragraph>工房は、2024年1月1日に発生した能登半島地震で震度5強に見舞われた羽咋市に位置しています。<br />
“ 震災でいつも見慣れた能登の風景が変わったことが悲しい。だからこそ自分の中の記憶にある美しい能登を反物で表現したいと思った。記憶の中にある能登の色合いはとても優しい色。それを表現することによって、見たひとが能登を思い出すように今まで以上に能登の風景を写したい。<br /><br />
“まだ数ヶ月しか経っていなく、恐怖心もあるし、危機感も全く消えていない。だからこそ自分たちのものづくりを通じて、能登の魅力を伝えていきたいと思っている。自分たちの工房もそうだけど、能登自体にお客さんが戻ってきて欲しいという思いがある。”と語られるのは常務である、代表の山崎 隆さんの姪の久世 英津子さんが続けます。</paragraph>
<photo src='https://krlazajynxwq6dfb.public.blob.vercel-storage.com/maker/992ecfb6-c663-4147-801e-57f723b2eb06-Ib0z2ygko5KpXIB2klha6O5k9yJENY.jpg' caption='染めの工房の様子。'></photo>
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<h1>伝統的手法が織りなすモダンな絣柄</h1>
<paragraph>能登上布の特徴の一つに「手織り」であることが挙げられます。手作業ならではの織り密度から生まれる透け感は「蝉の羽」に喩えられています。<br />
“機械織りの方が効率がいいこともあるだろうが、機械だと透け感や涼しさ、風合いが全く変わる。だからこそ100%手織りにこだわりたい。” と語られる久世さん。<br /><br />
能登上布のもう一つの特徴である絣（かすり）柄（あらかじめ文様を染め分けた経糸と緯糸を使用した文様の一種）は、独自の手染である「櫛押捺染」(くしおしなっせん)や「ロール捺染」で絣糸を染め、織り上げるため染めに滲みが少なく緻密で、凛とした佇まいに仕上がります。</paragraph>
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<photo src='https://krlazajynxwq6dfb.public.blob.vercel-storage.com/maker/1ead1a88-9c1a-4cdd-a305-f644957ef21f-aeX5xlbqG0BYC05jLSbecJK4IDaJMy.jpg' caption='櫛押捺染・・・絣を染める幅に合わせて異なる太さの櫛形の染付け道具と定規を用い、木型印（絣を染める位置を示す木型判子の目印）に沿って、糸の全周に化学染料を直接刷り込むようにして、緻密な絣模様をつけていく。この技法を用いることで、細かな絣模様も均一に染めることが可能。'></photo>
<photo src='https://krlazajynxwq6dfb.public.blob.vercel-storage.com/maker/ec62d832-9ed8-4ed0-bbae-94e0e3313581-VUjmCWiUbQJV8a4o6DHNj095wirBpG.jpg' caption='ロール捺染・・・凹凸のある溝が刻まれたロールに化学染料を付け、ガイドに従ってロールを転がしながら糸を染める。その後、糸を裏返し裏面も同様に染める。この方法は、幅や間隔が均一な細かい十字絣（代表的な模様には亀甲や蚊絣がある）を染める際に使用される。'></photo>
<photo src='https://krlazajynxwq6dfb.public.blob.vercel-storage.com/maker/32bf904b-c548-4ea9-91ec-17f4da3ea2cf-GyvGvKM8IkX2RAkbWAL55SF4ggBiYu.jpg'></photo>
<photo src='https://krlazajynxwq6dfb.public.blob.vercel-storage.com/maker/fc4ca81c-15df-41e3-bc9c-e0b3f2165a6b-mQHh7h8mb78heXnsvYV0gKRJIQiZRR.jpg' caption='絣を染める位置を示すガイドとして使用される木型'></photo>
<photo src='https://krlazajynxwq6dfb.public.blob.vercel-storage.com/maker/cef06248-61b5-4544-8d59-d27a57d635f2-oPpATJLhl4CyY6ibBVQiLWNrFQbKPh.jpg' caption='絣模様の図案と、図案を基にした木型。木型の間隔が1mmでもずれると、染めた後の柄に違和感が生じてしまうので、非常に精密に作られている。'></photo>
<photo src='https://krlazajynxwq6dfb.public.blob.vercel-storage.com/maker/242d7ebd-7252-430c-9407-307bc57ce523-9cW9f5Bf0TW4vQzTGl2L9VD1M0UEnj.jpg' caption='櫛押捺染の様子。'></photo>
<paragraph>他の地方の染め方は、染めない部分をくくり、染料にドボンとつけて絞り染めのように染めるため滲みが生じるのが一般的。山崎麻織物工房では滲みのない絣にするために複雑な染め方をしているとのこと。線を引いたようにその部分だけ染めることにより綺麗にくっきりとした柄となりモダンな印象に仕上がります。東京の催事に行くとファッション感覚で絣を楽しみたいとの声もよく聞こえてくるそうです。<br />
SNSでの発信も相まってモダンさが評価されじわじわと購買層も広がっています。</paragraph>
<photo src='https://krlazajynxwq6dfb.public.blob.vercel-storage.com/maker/a5609f77-b4bd-48e4-a395-20e6b2422d57-yX7VH4wbi0WXRY2XpVYUoT5wNPMGzi.jpg' caption='紫色の木型印に従って捺染していく。'></photo>
<photo src='https://krlazajynxwq6dfb.public.blob.vercel-storage.com/maker/fb25dcfd-6b77-4dc4-8485-46993f4934bf-BXTnJ4ZtR5nH1E2rmQ89IbIcygNT7n.jpg' caption='実際に織られた生地サンプル。上記の独自の手染により、くっきりとした緻密な絣柄を染めることができる。'></photo>
<h1>ラミーに託し日常に溶け込む能登の色</h1>
<paragraph>例えば沖縄の織物には青いものが多いように、能登の織物は能登の自然を投影したグレーがかった落ち着いた色合いをしています。<br />
同じ石川県でも金沢の街中は武家屋敷などが多く残り金の印象がある一方、能登は自然の色合いを色濃く感じます。<br />
久世さんは“自然と言っても緑や青ではなく、能登らしい自然の色はグレー。金沢と能登の対比があって、それが素晴らしいと思っているからその色をちゃんと反物に反映させたい。”と話します。</paragraph>
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<paragraph>織手が変わると同じ地色の生地でも少し色が変わります。経糸と緯糸の組み合わせで作られていくので、新しいものを作る時には実際に織り上げるまで正確な色はわからないそうです。試行錯誤の上、色を決めていき、仕上がりの色に見当はつくものの、時に実際の出来栄えが想像以上で感動することもあるそうです。<br />
ラミーで作られた能登上布の夏着物は、浴衣より涼しく爽やかで軽やか。上布ならではの麻らしいひんやりとした感触と独特の着心地の良さを楽しめます。</paragraph>
<photo src='https://krlazajynxwq6dfb.public.blob.vercel-storage.com/maker/fcf5cfc9-b1f0-4d29-9499-95adfaddd70c-mef6xL4YGQ9TVWlZlpRSq9lrCzKuic.jpg' caption='機織り工房の様子。山崎麻織物工房では全て手織りで作り上げていく。'></photo>
<photo src='https://krlazajynxwq6dfb.public.blob.vercel-storage.com/maker/e43f9c76-e855-4432-ac8e-1a0d0693c0e5-EdKHprksw2zEYhVqAsKRPGxrEAssXz.jpg' caption='シャトルに緯糸を通している様子。 シャトルを飛ばすタイミングや力加減で幅や密度が変わってしまうので、非常に集中力と持久力を要する。'></photo>
<paragraph>“普通の綿や絹と違って20、30年着物として着れる。麻は洗えば洗うほど心地良く、柔らかくなるから自分の半生くらいは大事に着れる。夏に着物は暑いといって着なかった人が、うちのは涼しいから着れたと言ってくれる。そうすると休日の過ごし方変わったり、生活も変わっていったり・・・。オフィシャルじゃない部分の人生に少しコミットして、彩りを与えられている気持ちになりとても嬉しい” と久世さん。<br />
能登上布をとおして能登の自然の色が日常に溶け込んでいきます。</paragraph>
<photo src='https://krlazajynxwq6dfb.public.blob.vercel-storage.com/maker/558e8b65-1b53-4541-8182-985da40329dc-aA0VPoidrnKHoSRzwp0tU33NTtw4at.jpg' caption='最近では着尺や帯の他にも、能登上布の端切れを使用したポーチやアクセサリーなども製作し、これまでと違った新たな展開も。'></photo>
<h1>唯一感で選ばれるとっておきの一本</h1>
<paragraph>先代にあたる祖父の仕事ぶりを横目に幼心に尊敬していた久世さんは、実際に製作に携われるようになり、想いを持ち伝統を繋いできた祖父の偉大さを再認識しました。<br />
能登上布を継承する意義を感じSNSなどで発信する中で、工程が複雑な能登上布の魅力の伝え方には難しさを感じられているそうです。<br /><br />
“上布自体が普通の着物とどう違うのか、なんの素材なのかも一般の人はわからないし、敷居もすごく高いものなので、そのあたりをどうすれば能登上布のことを全く知らない人や、若い人たちにわかりやすく伝えられるのをすごく考えた”と話します。<br />
山崎さんは“先輩たちが作ってきた品質を維持したい。出来上がりもスピード感も。”と話します。</paragraph>
<photo src='https://krlazajynxwq6dfb.public.blob.vercel-storage.com/maker/5a4d7427-57d2-408d-a3e0-645c105d5609-B0xF5cKGVpYEpuXEeqXfuHl1twzjdG.jpg'></photo>
<photo src='https://krlazajynxwq6dfb.public.blob.vercel-storage.com/maker/162a29e6-9ef2-4cf5-aa89-f689cc4fec20-qGIGVoIEUPyqOmHdQtfUDDAfXyseLk.jpg'></photo>
<paragraph>SNSを始めたことで40代の層や今まで少なかった男性にもリーチが増え、色柄も年に4柄ほど考案されるなど昔よりバリエーション豊かになる中でも、軸にしているのは能登上布ならではの魅力。ただ今までの色から鮮やかな色にするのではなく能登の天候、気候を反映させたグレイッシュの色に注目して、能登の魅力を伝えようと取り組んでいます。<br /><br />
“やっぱり皆さんに手に取っていただけるし、これまでと違うものを作っていきたい。手仕事だからこそ、世界に一本じゃないけど、その感覚でお客さんに選んでいただいているから、今年もまた同じ色というより自分だけのとっておきの一本という感覚で選んでいただいてるはず。それは機械織ではなく手織りだからこそ。唯一感で選んでもらってるからこそ、お客さんの思いを大事にしたい。”<br />
伝統を大切にすることを前提に、今までにない色合い、今までにないニュアンスのものを作り提案を続けています。</paragraph>

<h1>Noto Jofu: Weaving the Nature of Noto into Stories.</h1>
<paragraph>The only workshop that continues the legacy of Noto Jofu, a traditional textile from the Noto region of Ishikawa Prefecture dating back to 1891, is the Yamazaki Hemp Textile Workshop. Noto Jofu is a high-quality hemp fabric designated as an Intangible Cultural Property of Ishikawa Prefecture. Its origins are said to trace back some 2,000 years, when Princess of Emperor Sujin is believed to have taught weaving to the people of the Nakanoto area.</paragraph>
<photo src='https://krlazajynxwq6dfb.public.blob.vercel-storage.com/maker/ac44ab78-3b11-429a-afa7-b6d0b2cd0dd0-7WFyWKCV9VrlIHSFDQOB99vu1O8cK3.jpg'></photo>
<photo src='https://krlazajynxwq6dfb.public.blob.vercel-storage.com/maker/8648a988-d172-4b14-bad1-f4174f9bfeeb-f8xS7Y7IhZysojWaBT7VHdcVNestvn.jpg'></photo>
<paragraph>Unlike linen (flax), which is more common today, Noto Jofu is made entirely from ramie (choma), a fiber traditionally used in Japan. Kimono made from Noto Jofu are characterized by their translucence and luster reminiscent of cicada wings, their handwoven texture, and intricate kasuri (ikat) patterns.<br /><br />
The workshop is located in Hakui City, which was struck by a strong intensity 5 earthquake during the Noto Peninsula Earthquake on January 1, 2024.
“It was heartbreaking to see the familiar landscapes of Noto changed by the disaster. That’s why I wanted to capture the beautiful Noto I remember in my fabrics. The colors of Noto in my memory are gentle, and by expressing them, I hope people will be reminded of Noto’s scenery more than ever.”<br /><br />
“It’s only been a few months since the earthquake, and the fear and sense of danger haven’t gone away. That’s why I want to continue sharing the charm of Noto through our craft. Not only our workshop, but we also hope that people will return to Noto itself,” says Etsuko Kuze, the managing director and niece of head craftsman Takashi Yamazaki.</paragraph>
<photo src='https://krlazajynxwq6dfb.public.blob.vercel-storage.com/maker/5798be35-96f9-4222-b4ba-7e3660929c4d-3TDR2Pp20bYu2mBFfnA7UhjoeGwa4R.jpg' caption='Inside the dyeing workshop.'></photo>
<photo src='https://krlazajynxwq6dfb.public.blob.vercel-storage.com/maker/c2fe5237-bf96-491c-aaed-9c2e3ad2053a-fC74epLdhhQ28uMyBGF8Ufs2JhBMoK.jpg' caption='Left: Managing Director Ms. Kuze　Right: Head craftsman Mr. Yamazaki'></photo>
<h1>Traditional techniques, modern kasuri patterns.</h1>
<paragraph>One defining feature of Noto Jofu is that it is entirely handwoven. The unique density achieved through manual weaving creates a translucence often compared to cicada wings.<br /><br />
“Machine weaving may be more efficient, but machines can’t replicate the same airy lightness, coolness, or texture. That’s why we insist on 100% handweaving,” says Kuze.
Another hallmark of Noto Jofu is its kasuri (ikat) patterns, produced with pre-dyed warp and weft threads. The workshop employs original techniques such as kushi-oshi-nassen (comb press printing) and roll printing, which allow for sharp, precise designs with little blurring.</paragraph>
<photo src='https://krlazajynxwq6dfb.public.blob.vercel-storage.com/maker/02cf79a1-3ae5-42b7-aec6-57290576e4a5-MD6hEPWOoQw0Fbp5u8nCe7Eblt6xoM.jpg'></photo>
<photo src='https://krlazajynxwq6dfb.public.blob.vercel-storage.com/maker/9f555286-2e0a-4fb5-9411-df76c5f6a929-mv995YR241GHVwsYvx26baeBl99jZq.jpg' caption='Kushi-oshi-nassen: Using comb-shaped dyeing tools of varying thickness along with rulers, and aligning with wooden stamps that indicate dye positions, chemical dyes are directly pressed onto the full circumference of threads, creating fine, uniform ikat patterns.'></photo>
<photo src='https://krlazajynxwq6dfb.public.blob.vercel-storage.com/maker/f6bbb20a-e2bc-40f5-baf9-f31c0fa70271-UDULTIRt9PewOaXaColTNi6uG8Ba98.jpg' caption='Roll printing: Dyes are applied onto carved rollers with grooves, which are rolled along guides to imprint the design. The threads are then flipped to dye the reverse side in the same manner. This is used for precise, evenly spaced cross-ikat designs such as tortoiseshell or mosquito-net motifs.'></photo>
<photo src='https://krlazajynxwq6dfb.public.blob.vercel-storage.com/maker/e1c60a6d-df84-4d81-8957-5e20e2175d21-Huuiywm4Mw3BjfvxO2v90jcp8S1iUO.jpg'></photo>
<photo src='https://krlazajynxwq6dfb.public.blob.vercel-storage.com/maker/315d244d-bca7-44d7-b8bb-5280139c76dc-jR9oMc34lDAn928cuY44i3PU3LA5xw.jpg' caption='Wooden molds used as guides for dye placement'></photo>
<photo src='https://krlazajynxwq6dfb.public.blob.vercel-storage.com/maker/22949f00-33ec-46ed-9b90-1286d4a6c71b-BtVfc7D2BSVIU3Ba4HzW3OrnOGsMCw.jpg' caption='Designs for kasuri patterns and the wooden molds based on them. Even a 1mm deviation can create visible inconsistencies, so they are crafted with extreme precision.'></photo>
<photo src='https://krlazajynxwq6dfb.public.blob.vercel-storage.com/maker/75661cec-a2db-4aa0-926e-20074482a7a1-Ta9zBxERMTsPQoSuKdWxJW1MN4e77h.jpg' caption='Scene of kushi-oshi-nassen in progress.'></photo>
<paragraph>Unlike other regional dyeing techniques, which often involve tying and dipping threads (resulting in blurred patterns), Yamazaki Hemp Textile Workshop employs complex methods to achieve crisp, modern-looking designs. At exhibitions in Tokyo, they often hear visitors say they’d love to enjoy kasuri patterns in a fashion sense. With the help of social media, appreciation for their modern aesthetic has been steadily growing.</paragraph>
<photo src='https://krlazajynxwq6dfb.public.blob.vercel-storage.com/maker/9588cce3-205d-4131-8334-84f59ffdda25-EEthSzDmPm9iKqnUoWsJ5RnWsm2YwI.jpg' caption='Following the purple wooden stamps for printing.'></photo>
<photo src='https://krlazajynxwq6dfb.public.blob.vercel-storage.com/maker/dd53a3ca-78da-4e39-9672-50009d265874-92Wpd3dXPpRiq3urrmZAt4qAWO1iDD.jpg' caption='Sample of woven fabric. Thanks to the workshop’s unique dyeing methods, sharp and detailed kasuri patterns are achieved.'></photo>
<h1>Colors of Noto, woven into ramie for daily life.</h1>
<paragraph>Just as Okinawan textiles often feature blue, textiles from Noto reflect the region’s nature with subdued, grayish tones. While central Kanazawa is associated with samurai residences and golden hues, Noto conveys the colors of its natural environment.
“When I say ‘nature,’ I don’t mean bright greens or blues—Noto’s nature is gray. The contrast with Kanazawa is striking, and I want to reflect those colors in the fabric,” says Kuze.</paragraph>
<photo src='https://krlazajynxwq6dfb.public.blob.vercel-storage.com/maker/c6e2e83c-dca0-4035-ab70-8c140f198257-0ETDCIafXMnS2xgI1ggyjbveTOp7DZ.jpg'></photo>
<paragraph>Even with the same base color, the outcome varies depending on the weaver. Since the color is formed by the interplay of warp and weft, the exact shade isn’t known until the cloth is woven. Through trial and error, colors are decided, and sometimes the results exceed expectations.<br />
Summer kimono made of Noto Jofu ramie are cooler and lighter than yukata, offering a refreshing sensation, a pleasantly cool touch unique to hemp, and an unmistakable comfort.</paragraph>
<photo src='https://krlazajynxwq6dfb.public.blob.vercel-storage.com/maker/99f1e0de-5e02-4153-a53b-8edaba5e7045-ZlQyXjlw8024jBeFA4kM2uwA8M3W8q.jpg' caption='Inside the weaving workshop. At Yamazaki Hemp Textile Workshop, everything is handwoven.'></photo>
<photo src='https://krlazajynxwq6dfb.public.blob.vercel-storage.com/maker/b77489e5-881a-4714-924c-26be844e56ce-cw4FJwfrhu9nZYuAzNd18UJGE2YRIV.jpg' caption='Weft threads being passed through the shuttle. Timing and pressure affect the width and density, requiring intense concentration and stamina.'></photo>
<paragraph>“Unlike cotton or silk, these kimono can be worn for 20 or 30 years. The more hemp is washed, the softer and more comfortable it becomes—you can treasure it for half a lifetime. Some people who avoided kimono in summer because of the heat told me they could wear ours because they’re so cool. It changes how they spend weekends, even their lifestyle. It feels rewarding to contribute a little color to people’s personal lives,” says Kuze.<br />
Through Noto Jofu, the colors of Noto’s nature blend into daily life.</paragraph>
<photo src='https://krlazajynxwq6dfb.public.blob.vercel-storage.com/maker/95e57a5a-2145-4e39-9e6e-732ba55780c3-go34q4pOjBAHacJw2TehLIJoCN9eAx.jpg' caption='Recently, beyond kimono and obi, the workshop has also created pouches and accessories using Noto Jofu offcuts, opening new paths of expression.'></photo>
<h1>A one-of-a-kind treasure chosen for its uniqueness.</h1>
<paragraph>Kuze grew up admiring her grandfather, who passed down the craft with passion. Once she began making textiles herself, she realized anew the greatness of his devotion. Yet, she admits it’s challenging to communicate the complex appeal of Noto Jofu to people unfamiliar with it.
“Most people don’t know how jofu differs from ordinary kimono fabrics or what material it’s made from—it feels intimidating. I’ve been thinking hard about how to make Noto Jofu more approachable for people who know nothing about it, especially young people,” she says.<br /><br />
Yamazaki adds, “I want to maintain the quality and the pace of production our predecessors achieved.”<br /><br />
Since starting on social media, they have reached more men and people in their 40s, and now design about four new patterns a year. Yet at the core remains Noto Jofu’s unique charm. Rather than moving toward bright colors, they focus on grayish tones that reflect Noto’s weather and climate.</paragraph>
<photo src='https://krlazajynxwq6dfb.public.blob.vercel-storage.com/maker/4079c852-7997-40de-b345-f89f0d067082-QFotk74y8Hhy1ICBRws8bbAigld8J2.jpg'></photo>
<photo src='https://krlazajynxwq6dfb.public.blob.vercel-storage.com/maker/6a912e1d-0b52-4f30-a8fb-f9ace8883206-kTN4wrw46A3HVYNJnIWdKyPlOrA8DA.jpg'></photo>
<paragraph>“People want something different, something unique to them. Even if the colors aren’t entirely one-of-a-kind, customers feel as though they’re choosing a special piece just for themselves. That sense of uniqueness comes only from handweaving, not machine weaving. Because of that, I want to honor the feelings of each customer.”<br /><br />
While preserving tradition, they continue to propose never-before-seen colors and nuances, expanding the expression of Noto Jofu.</paragraph>

石川県能登地方の織物「能登上布」を継承する唯一の織元、山崎麻織物工房。能登地方の自然を表現したグレイッシュな色使いや、蝉の羽のような透け感や光沢感、緻密な絣柄など、どれをとっても繊細な表現が特徴的です。

Yamazaki Ramie  Textile Workshop is the only remaining weaving studio that carries on the tradition of Noto Jofu, a textile from the Noto region of Ishikawa Prefecture. Its fabrics are distinguished by subtle grayish tones inspired by the natural scenery of Noto, a translucent sheen reminiscent of cicada wings, and intricate kasuri (ikat) patterns—each reflecting the workshop’s hallmark of delicate expression.